一期一会
三月は、学校ならば、卒業式、会社ならば、人事異動や退職など、別れの多い時期です。
別れと出会いを繰り返す私達にとってその意味にうなずける禅語の一つに「一期一会」があります。
一期とは、一生、一会とはただ一度の出会いと言う意味です。
茶道の世界で良く使われる言葉で主人と客は生涯ただ一度の出会いと心得て、
その時の精一杯のおもてなしをすると言う事です。
又再び会う機会があったとしても、そのときの出会いはもう二度と戻っては来ないのです。
一年経つのはあっという間です、一日はもっと早く過ぎ去ります。
毎日顔を合わせる家族、友達、毎日の様でも実は最初で最後の出会いなのです。
その時その時の出会いは、もう二度と巡ってこないからなのです。
しかし、一々その様な事を考えて顔を合わせている訳ではありませんが、
一度立ち止まり「その時」「その場」を見つめてみる事も大切です。
絶え間ない時間の流れ「無常」という変化の中を生きている今の一瞬を感じる事でしょう。
朝「おはようございます」と言い、夜「おやすみなさい」と言う、その時は全て一回限りです。
昨日の自分は今日の自分ではありません。私達が生活している全てが一期一会なのです。
一瞬の出会いも大切に、一度きりの人生を生きて生きたいものだと思います。
最後に坂村真民さんの詩の一節を紹介します。
「二度と無い人生だから、一輪の花にも愛を」
花にも一期一会あり散る花びらは一瞬一瞬の命の尊さを、私達に教えてくれているのです。
耕道 合掌